西暦1900年代の偉人

【金子 みすゞ 】の名言集|名言まとめドットコム

私は不思議でたまらない、黒い雲からふる雨が、銀に光っていることが。私は不思議でたまらない、青い桑の葉食べている、蚕(カイコ)が白くなることが。私は不思議でたまらない、たれもいじらぬ夕顔が、ひとりでぱらりと開くのが。私は不思議でたまらない、誰にきいても笑ってて、あたりまえだ、ということが。

泥のなかから 蓮(はす)が咲く。それをするのは 蓮(はす)じゃない。卵のなかから 鶏(とり)がでる。それをするのは 鶏(とり)じゃない。それに私は 気がついた。それも私の せいじゃない。

はちはお花のなかに、お花はお庭のなかに、お庭は土べいのなかに、土べいは町のなかに、町は日本のなかに、日本は世界のなかに、世界は神さまのなかに。そうして、そうして、神さまは、小ちゃなはちのなかに。

−もういいの。−まあだだよ。びわの木の下と、ぼたんのかげで、かくれんぼうの子ども。−もういいの。−まあだだよ。びわの木のえだと、青い実のなかで、小鳥と、びわと。−もういいの。−まあだだよ。お空のそとと、黒い土のなかで、夏と、春と。

青いあさがおあっち向いてさいた、白いあさがおこっち向いてさいた。ひとつの蜂(はち)が、ふたつの花に。ひとつのお日が、ふたつの花に。青いあさがおあっち向いてしぼむ、白いあさがおこっち向いてしぼむ。それでおしまい、はい、さようなら。

もくせいのにおいが庭いっぱい。おもての風が、ご門のとこで、はいろか、やめよか、そうだんしていた。

どんぐり山でどんぐりひろて、おぼうしにいれて、前かけにいれて、お山をおりりゃ、おぼうしがじゃまよ、すべればこわい、どんぐりすてておぼうしをかぶる。お山を出たら野は花ざかり、お花をつめば、前かけじゃまよとうとうどんぐりみんなすてる。

まちであったかあさんと子どもちらと聞いたは「あした」まちのはては夕やけ小やけ、春の近さも知れる日。なぜかわたしもうれしくなって思ってきたは「あした」

それはきれいなばらいろで、けしつぶよりかちいさくて、こぼれて土に落ちたとき、ぱっと花火がはじけるように、おおきな花がひらくのよ。もしもなみだがこぼれるように、こんなわらいがこぼれたら、どんなに、どんなに、きれいでしょう。

いたづらに一つかくした弟のおかし。食べるもんかと思ってて、食べてしまった一つのおかし。かあさんが二つッていったら、どうしよう。おいてみてとってみてまたおいてみて、それでも弟が来ないから、食べてしまった、二つめのおかし。にがいおかし、かなしいおかし。

わたしのかみの光るのは、いつもかあさま、なでるから。わたしのお鼻のひくいのは、いつもわたしが鳴らすから。わたしのエプロンの白いのは、いつもかあさま、あらうから。わたしのお色の黒いのは、わたしがいりまめ食べるから。

なめても、すっても、まだいたむべにさし指のさかむけよ。おもいだす、おもいだす、いつだかねえやにきいたこと。「指にさかむけできる子は、親のいうこときかぬ子よ。」おとつい、すねてないたっけ、きのうも、お使いしなかった。かあさんにあやまりゃ、なおろうか。

お家のみえる角へきて、おもいだしたの、あのことを。わたしはもっと、ながいこと、すねていなけりゃいけないの。だって、かあさんはいったのよ。「ばんまでそうしておいで」って。だのに、みんながよびにきて、わすれてとんで出ちゃったの。なんだかきまりが悪いけど、でもいいわ、ほんとはきげんのいいほうが、きっとかあさんはすきだから。

たもとのゆかたはうれしいなよそゆきみたいな気がするよ。夕がおの花の明るい背戸(せど)へ出てそっとおどりのまねをする。とん、と、たたいて、手を入れてたれか来たか、と、ちょいと見る。あいのにおいの新しいゆかたのたもとはうれしいな。

にいさんがしかられるので、さっきからわたしはここで、そでなしのあかい小ひもを、むすんだり、といたりしている。それだのに、うらの原では、さっきからうしろ取りしている、ときどきはとびもないてる。

「しろ取りするもな みな来いよ。」「ためおにするもな みな来いよ。」あの組ゃ、いれてはくれまいし、あの組ゃ、あの子が大将だし。知らぬかして、かたかげで、地面(じべた)に汽車をかいている。あの組ゃ、わかれてはじめたな、あそこは、おにきめしているな。なにか、びくびくしていたが、みんなはじめてしまったら、さわぎのなかに、うら山のせみのなくのがきこえるよ。

にいさん口ぶえふきだした。わたしはたもとをかんでいた。にいさん口ぶえすぐやめた。おもてにこっそり夜がきた。

ないじゃくりするたびに、だいだいの花のにおいがしてきます。いつからか、すねてるに、だれもさがしに来てくれず、かべのあなからつづいてる、ありをみるのもあきました。かべのなか、くらのなか、だれかのわらう声がして、思いだしてはないじゃくるそのたびに、だいだいの、花のにおいがしてきます。

白勝った、白勝った。そろって手をあげ「ばんざあい」赤組のほう見て「ばんざあい」だまってる赤組よ、秋のお昼の日の光り、土によごれて、ころがって、赤いだるまがてられてる。も一つと先生がいうので「ばんざあい。」すこし小声になりました。

だれにもいわずにおきましょう。朝のお庭のすみっこで、花がほろりとないたこと。もしもうわさがひろがってはちのお耳へ入ったら、わるいことでもしたように、みつをかえしにゆくでしょう。

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