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【安西 水丸】の名言集|名言まとめドットコム

小さい頃は書を習っていたんですよ。母は絵を描く人というか芸術家が嫌いだったんですけど、書だけはOKで、寺で習っていました。書のあとは剣道で、日曜日は本当に忙しかった。

磨れって言うくせに、先生の添削の赤は墨汁なんですよね。(笑)

墨汁歴は長いですよ。初期の頃はプラスチック容器ではなかったですよね?黄色い缶に紫のひもがついていて。

墨汁は登録商標ではないんですか?

僕はイラストレーションの世界に入ってからもずっと開明墨汁を使っているんですよ。

あんな変なものを作っているのはどこの会社だって思っていたんです。(笑)僕は、漫画家の寺田ヒロオ先生にファンレターをたくさん送ったんです。あの先生は唯一返事をくれたんです。

開明墨汁は、耐水性がいいし、マーカーで上から塗ってもにじまないし。ベタは墨汁で塗って、線はポスターカラーで塗るんです。乾いてからポスターカラーを全部洗い流すとギザギザが出るんです。

イラストレーターは画風が大事だから、画風を得るために色々なことをやるんです。今は普通のペンだけど、こういう試行錯誤があったから今があるんですよね。僕、墨汁に関しては田中社長よりよく知っているもん。

松屋でできるっていうのも嬉しくてね。

「墨一色展」は全てのイラストレーションを何種類かの開明の墨汁で描くわけですが、青 (花仙青墨) や茶 (花仙茶墨) が (東京イラストレーターズ・ソサエティ) 理事会で結構話題になっていたんです。

墨の濃淡で表現がどうなるのかが面白いよね。

それは見てのお楽しみだよ。

松屋では、東京イラストレーターズ・ソサエティの展覧会を最初2回やったんですけど、その後断られていたんですよね。だから、今回は銀座に戻れて皆嬉しがってますよ。

「墨一色展」には、額に入ったイラストレーションの他に、掛け軸、扇子、卓上の屏風、色紙など装丁に凝ったものが多いようですね。

東京イラストレーターズ・ソサエティは、220名ほどのイラストレーターズの集まりで、年に何回か展覧会をやるのですが、ふつうイラストレーションは色をつける作品が多いので、今回の「墨一色展」のように、黒と白の世界というのは珍しい。

今一家に一個くらい墨汁はあるのかな?

まぁマジックとか筆ペンとか出てきたからね。開明万年毛筆はベタを塗る時にいつも使っているのです。先を0.1~0.2mmちょっと切ってね。そうするとはみ出さないんですよ。

マーカーでもとがっているのとそうでないのと2種類あるしね。ドイツ文字もこういうので書いているんですよ。先がとがっていないと明朝体を書くのには無理です。明朝体は縦が細くて、横が太いでしょ。

それにしても、こういう対談は本当に嬉しいですね。巨人ファンが長島茂雄と対談するようなものでしょ。そう考えるとすごいよね。

僕がやっているイラストレーションというのは「絵」じゃないんですよ。小さいときから絵は好きだったけど、それは自分の気持ち、感情や思ったことを視覚的に表現したかったから。

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