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【名言解説】冨岡義勇「生殺与奪の権を他人に握らせるな」|名言が生まれた背景とは?

「鬼滅の刃」にはさまざまな名言が登場します。

今回は、第1話「残酷」から鬼殺隊の冨岡義勇の名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな」についての解説です。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな」のシーン解説

物語は大正時代、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は、炭を作って3人の弟と2人の妹と母と幸せに暮らしていました。

ある日町に炭を売りに行き、家に帰ってみると、家族は鬼に惨殺されていたのです。一人生き残った上の妹の禰豆子(ねずこ)は、傷口に鬼の血を浴びて、鬼のようになっていました。

禰豆子は炭治郎を襲おうとするところへ、冨岡義勇がやってきて禰豆子の首を切ろうとします。

炭治郎は一人残った家族である禰豆子の命乞いをして、土下座をして助けてくれるように義勇に頼み込みました。

その時に冨岡義勇が言い放った言葉が

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」です。

義勇の言葉は次のように続きます。

「惨めったらしくうずくまるのはやめろ!」

「そんなことが通用するならお前の家族は殺されてない」

「奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す?仇を見つける?笑止千万!」

「弱者には何の権利も選択肢もない」

「悉く力で強者にねじ伏せられるのみ!」

「妹を治す方法は鬼なら知っているかもしれない だが、鬼共がお前の意志や願いを尊重してくれると思うなよ」

「当然俺もお前を尊重しない それが現実だ」

「なぜさっきお前は妹に覆い被さった あんなことで守ったつもりか!?]

「なぜ斧を振らなかった なぜ俺に背中を見せた!」

「そのしくじりで妹を取られている」

「お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ」

「泣くな 絶望するな」

「そんなのは今することじゃない」

「お前が打ちのめされてるのはわかってる」

「家族が殺され妹は鬼になりつらいだろう 叫び出したいだろう わかるよ」

「俺があと半日早く来ていればお前の家族は死んでなかったかもしれない」

「しかし時を巻いて戻す術はない」

「怒れ 許せないという強く純粋な怒りは手足を動かすための揺るぎない原動力になる」

生殺与奪の権とは

生殺与奪(せいさつよだつ)の権とはどういう意味でしょうか。

相手の生き死にを決定する権利という意味です。

権利というより、力関係を表しているとも言えます。

強者が弱者の命を握り、自由にできることです。

義勇の教え

炭治郎は、禰豆子に切りかかる義勇に、禰豆子の命乞いをします。義勇の善性を信じた行為ですが、自分と禰豆子の生き死にを義勇に託してしまったことになるのです。

そんな炭治郎の行動を見て、義勇は何もかも失う愚かな行為だと考えます。義勇が、人食い鬼でなくて良かったですね。

「惨めったらしくうずくまるのはやめろ!」という言葉は、弱さを見せるな、他人に命を託すなということです。

義勇が助けてくれる可能性に賭けた炭治郎に、甘えや弱さの表れが見て取れるというわけですね。

そんな弱い人間が、鬼化した禰豆子を元に戻してやれるわけがないと言います。

鬼と戦う鬼殺隊だからこそ、義勇はいつも緊張感を持っていて、弱さをみせてはいけないと言っているのですね。

義勇の言いたいことは、相手に甘えて行き死にを任せるのではなくもっと強くあって、自分で自分の命を守り、自分の行動で勝利をつかまなければならないということでしょう。

強く生きる人は、自分の人生に責任を持つ人です。自分に責任を持つということは、他人ではなく、自分の行動で運命を切り開いていくということでもあります。

甘えないで、果敢に戦って、自分の意志を通していくことです。

義勇は「泣くな 絶望するな」「そんなのは今することじゃない」と心でつぶやきます。そこに炭治郎に同情して、励まそうとする義勇の優しさが見て取れるでしょう。

すべてを投げ出して土下座した炭治郎の嘆願が、義勇の心を動かしたとも言えます。

炭治郎の幼子のような諸手を挙げた懇願が、義勇を師にして、「強くあれ」という道を示させたのでしょう。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな」が生まれた背景

鬼殺隊士としての冨岡義勇

冨岡義勇は鬼殺隊の隊士で“柱”と呼ばれる最上級剣士の一人で、竈門炭治郎が初めて出会った鬼殺隊士です。

義勇は自分と刺し違えてでも妹を守ろうとする炭治郎と、兄を庇う禰豆子の姿を見て、兄妹の絆が確かに残っていることに気づき刀を収めます。

そして炭治郎に、恩師・鱗滝左近次の家を教え、鬼を討伐する鬼殺隊士として生きる道を示したのでした。

義勇は多くの鬼殺隊士と同様、人を殺した鬼に対しては一片の慈悲も見せず、「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに」と言うしのぶに対しても「鬼が人を喰らう限りは無理な話だ」と返しています。

竈門兄妹を見込んだのは義勇にとっては、例外中の例外のことでありました。炭治郎の妹を思う一途な気持ちが、義勇の心を動かしたのでしょう。

冨岡義勇の過去

義勇もまた家族を鬼に殺されています。

義勇には、蔦子(つたこ)という姉がいました。結婚を約束した人がいましたが、祝言の前日に鬼に襲われ、亡くなっています。

姉は、弟である義勇を隠すかたちで、身を呈して義勇の命を守ったのでした。

家族を殺された炭治郎に同情したのも、そのような過去があったためと思われます。そして自分が鱗滝左近次にひろわれて鬼殺隊士になったように、炭治郎も鬼殺隊士になって強く生きて、鬼と戦うようにと導いたのでした。

義勇には錆兎(さびと)という同い年の親友がいました。

正義感が強く心優しい少年で、炭治郎と同じように鱗滝左近次の下で剣士として育てられ、13歳で義勇と共に最終選別を受けます。

錆兎はとても強く、一人でほとんどの鬼を退治してしまいました。義勇は鬼との戦いで負傷し、意識が朦朧としている中で、最終選別が終わってしまいます。

しかし、錆兎は、鬼によって殺されてしまいました。義勇はほとんど戦いもせずに最終選別が終わり、受かりましたが、自分は鬼殺隊には見合っていないのではないかと悩みます。

しかし、鬼殺隊士となって経験を積み、柱となっているのは実力があるからでしょう。

姉や親友の死を胸に、その意志を継いで、鬼討伐に全力を尽くします。

炭治郎への優しさと厳しさは、そのような過去があったからでしょう。

『鬼滅の刃』について

『鬼滅の刃』は、集英社『週刊少年ジャンプ(集英社)にて2016年11号から2020年24号まで連載されました。

2021年2月時点でコミックスのシリーズ累計発行部数は電子版を含めて1億5000万部を突破しています。

作者は吾峠呼世晴さん。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな」は第1話に掲載されています。

まとめ

「生殺与奪の権を他人に握らせるな」は「強くあれ」「他人に自分たちの命を任せるな」と私たちを奮い立たせてくれる義勇の言葉です。

自分の責任で自分の人生を生きることの大切さを説いています。戦おうとせずに自分を投げ出してしまうことのないように、自分が大事にしているものは自分で守ることが大切だということが理解できますね。

義勇のこの深い言葉は、私たちに強さと勇気を与えてくれるのです。

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