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【名言解説】ラオウ「わが生涯に一片の悔いなし」|名言が生まれた背景とは?

「北斗の拳」にはさまざまな名言が登場します。

今回は、9巻(文庫版)16巻(コミック版)「若き狼の叫び!の巻」から世紀末覇者ラオウの名言「わが生涯に一片の悔いなし」について解説していきます。

「我が生涯に一片の悔いなし」のシーン解説

暴力が支配する荒廃した時代

世界的な核戦争によって文明と人々の秩序が失われ、争いが繰り返されるという最終戦争後の199X年、核の炎につつまれた世界は、あらゆる生命体が絶滅したかにみえます。

ところが生き残った人類がいて、水と食料を求めて争い、強い者が弱い者を暴力によって支配する荒廃した時代に生きていました。

一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」の伝承者、ケンシロウは、ある村でリンという少女を助け、そこで出会ったバットとともに旅を続けます。

かつて自分と継承者争いをした三人の兄が生きていることを知ったケンシロウは、凶悪な三男ジャギを葬り、優しかった次兄トキと再会。しかし残るひとりの長兄ラオウは、世紀末覇者・拳王を名乗る暴君となっていました。

ラオウの野望を阻止しようとして対決したトキは敗れ、ケンシロウはラオウ打倒を心に誓います。

一方、南斗聖拳の「最後の将」、ケンシロウのかつての恋人ユリアは、乱世を治める力をケンシロウの中に見出し、自らの下に導こうとしました。

ケンシロウとラオウの対決

ラオウはユリアを手中にすべく、彼女を護る南斗五車星の戦士たちを次々に倒していきます。愛と哀しみを背負い、ケンシロウは北斗神拳究極奥義「無想転生」を体得します。

ラオウは拳に殉じた拳王北斗の長兄である自分が、愛を背負ったなど恥辱とし、ケンシロウを倒すためには哀しみが必要と、愛するユリアに手をかけます。

しかし、殺されたはずのユリアが息を吹き返した時に、死の病に冒され余命数カ月のユリアの美しい心を見て、ユリアの秘孔を突き仮死状態にして病状を停止させ数年生きられるようにしました。

ケンシロウはラオウと対決し、激闘の末、ラオウを倒します。

ラオウは、ケンシロウに負けたことを認めました。

「みせようぞ!世紀末覇者ラオウの死にざまを」

「ケンシロウ、このラオウ まだ死んではおらぬぞ」

「ケンシロウ、きさまとおれは すべてにおいて五分のはず わが拳で砕けぬはずはない!」

「すでに見切っておったか!わが拳にはもはや おまえを砕く力など残っておらぬ事を」

「今こそ悟った!おまえは今日まで死を見切って生きてきた」

「熾烈なる強敵(とも)との戦いの中で生と死の狭間を見切ったのだと!」

「強敵(とも)か 思えばおれには強敵(とも)と呼べる男はトキしかいなかった!」

「見せてくれ このラオウを倒した男の顔を」

「フフフ、見事だ弟よ!」

ケンシロウは「兄さん」と答えます。

「さらばだケンシロウ」

「おれもまた天へ!トキの下へ帰ろう」

「このラオウ天へ帰るに人の手は借りぬ!」

ラオウは自ら秘孔を突き、右手を高らかに天に上げ、叫び死にます。

「わが生涯に一片の悔いなし」

「わが生涯に一片の悔いなし」が生まれた背景

暴君である拳王ラオウ

ラオウは世紀末覇者拳王を名乗り、拳王軍を率いて、核戦争後の荒廃した世界を恐怖と暴力で制圧した暴君。

北斗神拳四兄弟の長兄にしてトキ、サヤカの実兄、ジャギ、ケンシロウの義兄であり、カイオウの実弟。忘れ形見に、リュウがいます。愛馬は黒王号。

戦いの際は、相手が雑魚ならば何人だろうと黒王の上からまとめて吹き飛ばします。また、レイやヒューイ、シュレンなど、かなりの実力を持った者と戦う時ですら黒王の上からは降りずにまま相手をしました。ケンシロウやトキ、コウリュウ、フドウ、ジュウザ、シンなど、自分が認めた強者が相手の時のみ黒王から降りて戦います。

カサンドラで数多の他流派拳法の伝承者・達人たちより数々の奥義を奪い、敵対者となる人間を潰しました。

ラオウの生い立ち

ラオウは幼少期に両親を失い、その理不尽な経験から己の意に沿わないものは力をもってねじ伏せる、という思考を持つようになりました。

「ラオウとトキの二人の内、養子に迎えるのはどちらか一人」とトキと共にリュウケンに崖から落とされるが、気絶したトキを抱えて片手で崖をよじ登ってみせたエピソードなどがあります。

そうした信念により、無抵抗を条件に助命を求めてきた村の長を「意志を放棄した人生に意味は無い」としてあっさりと(アニメ版では生存)殺害しています。自身に想いを寄せるあまり自害して果てたトウに対しても「自分が欲しければ、殺してでも手に入れれば良い」と言ってのけました。

幼少期の修行時代にもこうした面はあり、稽古で打ち倒したトキが涙を流すのを見て「泣くな!涙など流してはならぬ」と言い放っています。

またケンシロウに対しては、彼がまだ幼いため修行はおろか道場に入ることも許されていなかった頃、リュウケンに無断でリンチ同然の組手を行い、それを咎めたリュウケンに「才なき者がいずれここから追放されるなら、それを早く分からせるのがこいつのため」と謝ることなく堂々と言い切りました。

しかし、自ら片足を切断して差し出したファルコの願いを聞き入れて軍を転進させるなど、強い意志を持った人間に対しては敬意を払い受け入れる器量も持っています。また、意志が強く見所のある少年にも好意を示し、バランに目をかけたりシャチを可愛がったりするなどしました。

伝承者ケンシロウに敗れる

世紀末覇王を目指すラオウは自らの力を背景として核戦争後の混乱に終止符を打とうと目論んでいました。力が支配する世界においては、力でねじ伏せ、制圧するしか方法がなかったと思われますが、恐怖と暴力による統治は長続きするわけがありません。

北斗神拳の伝承者ケンシロウに敗れたことは本望であったことでしょう。

ケンシロウ「ラオウよ おれにはあなたが最大の強敵(とも)だった」

ユリア「この暴力の荒野は恐怖によって統治するより術はなかった しかし恐怖による統治に真の安らぎはありません」

ユリア「統一を果たしたラオウは自分が愛を持つ者に倒されとってかわられる事を願っていたのでは わたしにはそんな気がしてなりません」

ケンシロウ「ラオウよトキとともに眠れ おれはあなたの生き様を胸に北斗神拳伝承者として生きよう!」

非情な暴君として君臨していたラオウは、愛を抱くことを拒否していましたが、ユリアに心動かされ、最後は愛を持つケンシロウによって倒され、とってかわられることを本当は望んでいたのではないでしょうか。

誇り高いラオウは、その尊厳を失わずに、自ら命を絶ちました。

ケンシロウは、余命の短いユリアとささやかで平穏な日々を過ごします。

『北斗の拳』について

『北斗の拳』は、週刊少年ジャンプにて連載されていた漫画作品。1983年41号から、1988年35号まで、全245話に渡って連載されました。

原作は武論尊さん、作画は原哲夫さん。

週刊連載にあたり、原哲夫の「作画に時間が掛かるため、1人で週刊連載はできない」との意を汲み、『週刊少年ジャンプ』編集者の堀江信彦は原作者として候補の中から武論尊を起用。

武論尊が「現代劇では無理、今の高校生のままでは俺は書けない」「肉体的・拳法の強さを出すには近代兵器が無い方がいい、武器のない時代にしよう」と提案したことで、核戦争後の世紀末を舞台とした作品となっています。

まとめ

暴力の支配する荒廃した世界を、力を持って制圧した暴君ラオウは、強くあるために愛を拒んでいましたが、心の美しいユリアに心動かされ、愛に目覚め、愛のある北斗神拳の伝承者ケンシロウに敗れます。

大きな軍を率いて、恐怖によって統治した鋼鉄の意志を持ったラオウの力強い生き様がケンシロウの心に残りました。

「わが生涯に一片の悔いなし」と言ってのけたラオウの力強い生き方が、人々の心を動かします。

さまざまな名言が生まれた北斗の拳のなかでも、印象に残る名言ではないでしょうか。

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